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zoom RSS 恋愛物語〜短篇集〜

<<   作成日時 : 2009/03/05 22:34   >>

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13 全ての理由  冴倖椋(さえさち りょう)/蘭藤脩(らんふじ しゅう)


 響く靴の音。響くボールの音。その二つの音が妙にマッチしていて、私は好き。

 今日は久しぶりに部活が休みで、私はウキウキしていた。部活が嫌いなわけじゃない。アイツの姿を見れるから。アイツが部活してる姿、すごくカッコいいんだもん。
 私は体育館の入り口に立って、アイツ、脩(しゅう)の姿を眺める。部活がない日は、少しの間脩の姿を眺めてから家に帰る。
「なにしてるの?」
「ふえっ?!」
「見てるの? 練習」
「あ、はい。まぁ」
 マネージャーの人が私に話しかけてきた。この人は三年生で、とても美人な人だ。話したことはないけれど、私の中では優しそうなイメージがある。きっと勉強も出来てモテるんだろうなぁと、勝手に想像している。
「入りなよ。そんなとこで見てないでさ」
 私は断った。すぐに帰るつもりだったから。だけど結局は体育館の中に入れてもらって、中で練習を見ることになった。
 やっぱり脩はカッコいい。近くで見ると、いつもより更にカッコよく見える。
「よく見てたでしょ、練習」
「知ってたんですか?!」
「まぁね。マネージャー志望じゃなさそうだったから声はかけなかったんだ」
「そうなんですか……」
 私は脩から先輩に目を移して答えた。まさか知られていたとは驚きだ。
「呼ぼうか? 蘭くん」
「蘭くん?」
 蘭藤(らんふじ)だよ、と言われて、私は“蘭くん”が誰なのかわかった。蘭藤脩。苗字は長いから、きっと“蘭くん”なんだと思う。
「いつも、蘭くん見てたんでしょ?」
「えっ、いや、そんな……」
「隠さなくてもいいよ。蘭くんのこと好きなんでしょ?」
「脩とはただの友達で、好きとかそんなのじゃ……」
 先輩は、ふふっと優しく笑う。この人好きだなぁ、と、私は感じた。
「蘭くーん! とっても可愛い彼女さんが来てるわよー!」
「せっ、先輩っ!」
 冗談かと思えば、突然先輩は大きな声で言う。私は慌てて立ち上がった。けれど先輩は、“少しの間蘭くん休憩にするから、話なよ”と私に耳元で言う。きっと、私の顔は真っ赤だ。
「あ、そだ。名前は?」
「私ですか? 椋です。冴倖椋(さえさち りょう)です」
「椋ちゃんね。また来てよ。待ってるから」
 先輩はそれだけ言うと、練習している人たちの中へ入っていった。
「椋じゃん。どーしたんだ?」
「えっと……その、たまたま、通りかかって……」
「そっか。あ、今日一緒に帰んねぇ? 確か方向一緒だったよな」
「えっ?! う、うん、いいよ」
 体育館の隅の方で私と脩は話す。この会話は、きっと誰にも聞こえていない。だって、体育館の中は色んな音が飛び交っているから。
 私と脩は、少しの間話をしていた。先輩は十五分くらい脩に休憩を与えてくれていたけれど、十五分はすぐに過ぎていって。
「……見に来てたんだろ?」
「へ?」
「練習。こん中に好きな奴でもいんのか?」
「まぁ、ね」
 集は、帰りに色々聞かせてくれよな、って言って、練習の輪の中に戻っていった。少し、哀しそうな顔をしていたように思う。気のせいだといいんだけど。
 私は練習が終わるまで、先輩の隣で先輩と話をしながら脩を見ていた。時々脩のあの顔を思い出しながら。脩は私と目が合うと、練習中にも関わらず、私に笑顔を見せてくれた。
 ねぇ脩。私は脩が好きなんだよ。今日練習を見に来たのも、今まで練習を見に来てたのも、脩が好きだからなんだよ。だから、そんな哀しそうな顔、見せないで……?


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written by 沖田さくら

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