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zoom RSS 恋愛物語〜短篇集〜

<<   作成日時 : 2009/04/11 16:11   >>

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おまけLS
02 rainy day is happy sweet day
  レイ/ヤト


 あぁ、なんか雨、降りそうだなぁ……。
 なんて、そんなことを思いながらも、私は家を出る。右手に手紙を持ち、左手には八十円を持って、傘は持たずに。
 向かう先は郵便局。八十円切手を買って、手紙を出す為だ。
 今日は曇天で、今にも雨が降りそうな空をしている。天気予報では降水確率七十五パーセントだと言っていたから、自分で予想しなくても、きっと雨は降るだろう。
 どうせ雨が降るんなら、と思って、私はラフで濡れてもいい服を着た。適当に洋服ダンスから取り出してきた半袖のTシャツと半ズボン。靴下ははかずに、サンダルを履いている。髪の毛も結わずに、おろしたまま。

 郵便局へは、十分程度で着いた。私の家に近くには、なにかと便利な施設が立ち並んでいる。郵便局、コンビニ、スーパー、眼科、耳鼻科、小児科、洋服屋、本屋、CDショップ。大きな病院やデパートになるおと、少し遠くなる。
 郵便局の中に入り、受付で八十円切手を買うと、手紙に貼り、局の中にある郵便ポストに入れる。用はこれだけだったから、郵便局を出る。
 郵便局の外へ出ると、案の定雨が降っていた。しかも結構な量が降っている。
 やっぱり降ってきたか……、と思いながらも、郵便局を立ち去る。どうせ濡れてもいい服だし、傘なんて持っていないから、私は濡れて帰る。
 郵便局を出て真っ直ぐ行ったところの信号にひっかかった。私の身体はもう既にびしょびしょだ。髪の毛からは、雫が滴り落ちている。
 行きに降らなくてよかった、なんてばかなことを考えていると、周りには雨の音が聞こえているのに、私の頭上だけ雨が止んだ。視線を上に動かしてみると、見慣れた黒い傘。私の右側にはアイツ。
「なにやってんだよ。びしょびしょじゃねーか」
 右隣にいるアイツは、いつもの低い声で私に言う。
「郵便局行ってた」
「この土砂降りの中、傘もささずにか?」
「行きは降ってなかったよ」
「はぁ……。たく、俺ん家来い。風邪引くだろ」
 アイツが盛大にため息をつく。呆れたような顔をしている。そりゃそうだよね。この雨だもん。
「いいよ、別に。私の家近いから」
「ダメだ。来い」
 信号が青に変わる。アイツ――ヤトは、私の手首を掴んで強引に引っ張っていく。
 意外にも、私の家よりヤトの家の方が郵便局から近かった。信号を渡って左に曲がり、家二つ程向こうの家。それがヤトの家。初めて知ったんだけど。私の家は、ヤトの家の家七つ程左にある。
「タオル取ってくっから、服の水しぼって玄関入ってろ。鍵は締めるんだぞ」
 ヤトはそう言うと、ポケットから取り出した鍵でしまっている扉を開け、中に入る。
 私は扉の外で、服の水をしぼって、手についた水をはらう。ヤトが入ったあとの閉まった扉を開けて、ヤトの家に入る。鍵は締めろと言われたから、鍵を締める。
 ヤトの家の玄関は、とても綺麗だった。出してある靴は、全部綺麗にきちんと並べてある。
「おせーよ」
 私が玄関に入り、鍵を閉め、靴を見ていると、不意に上から声が聞こえた。
「なっ……。ヤトが服の水しぼれって言ったから、ちゃんとしぼってただけじゃない!」
「……ほら」
 私の言葉を無視して、ヤトはタオルを放り投げる。私は少し変な声を出しながらも、タオルを受け取った。
「なに見てんだよ。早く拭け」
 受け取ったタオルを少しの間見たあと、ヤトのことを見ていたら、ヤトが言う。顔を真っ赤にして、私から視線を外して横を向いて。
 私は、ヤトから受け取ったタオルで雨に濡れたところを拭く。髪の毛や腕、足とか、とにかく濡れたところを。
「拭けたらあがってこい。左の扉だ」
 それだけ言うとヤトは、私の返事も聞かずに、左の扉の奥へと入っていった。
「ホント、ヤトって俺様だなぁ」
 濡れているところを拭き終わって、サンダルを脱いでヤトの家にあがりながら、私は呟く。
「他の女子には全然違うのになぁ」
「なにがだ」
「ふぇぇ?! あぁ、なんでもないよ」
 ヤトに言われた通り、左の扉を開けると、扉の右側にヤトが立っていて、私の独り言を聞かれていた。
「あっそ。じゃコレやんねー。俺が飲んじゃお」
「あっ! それ! ミルクティー!」
 ミルクティーは、私の大好きな飲み物。いつもミルクティーを飲んでいる。アイスもホットもぬるいのも大好き。
「欲しいか?」
「……欲しい」
「さっきの言葉の意味は?」
 ヤトの口調がなんkだか憎たらしい。すっごい、俺様ーって感じ。だけど、答えないわけにはいかない。ミルクティーがかかっているのだから。
「むぅ……。ヤト、私にだけいっつも俺様だなぁって……」
「レイが好きだからだ」
「……ッ」
 私も好き。そう言おうとしたけれど、やめた。さっきの仕返しをする為に。
 仕返しをしようと、口を開こうとしたら、ヤトはミルクティーを持ってリビングを出ていってしまった。
「っくし」
 少し寒いな……。あぁ、そうだった。服、一応しぼったけど、濡れてる。さっき程ではないけれど、びしょびしょだ。そりゃぁくしゃみの一つくらい出るよ。
「ほら。着替えろ。俺のだからでけーだろうけど」
 いつの間にか戻ってきたヤトが、左手に持っている服を私に差し出す。
「あ、ありがとう……」
 私がお礼を言って服を受け取ると、ヤトは扉を閉める。ミルクティーはヤトが持ったままだ。
 なるべく温かいままのミルクティーが飲みたいから、私は急いで着替える。幸い、下着は濡れていなかった。少し冷たいような気がしなくもないけれど。
 ヤトが持ってきてくれた服は、確かに少しっていうか、結構大きい。すっごいヤトの匂いがする。
「ヤト。終わったよ」
 廊下のヤトに向かって言うと、扉が開く。ヤトは無言で私にミルクティーの入ったマグカプを差し出す。私はそのマグカップを受け取り、手で包み込むようにして持つ。
「あったかい……」
 ミルクティーを一口飲むと、自然とそんな言葉が零れた。まぁ実際、ミルクティーは温かかったのだけれど。
 何故かヤトは何も言わずに、床にほったらかしにしてしまっていた私の半袖のTシャツと半ズボンを拾い、また何処かへ行ってしまった。
 私はゆっくりだけど、少しずつミルクティーを飲んでいく。ヤトが戻ってきた頃には、半分くらい飲み干していた。
 二人の間には沈黙が流れている。さっきからずっと。話題がないわけじゃない。話題ならいくらでもある。それも、底を知らないくらい、沢山、沢山。だけど今は、何も話さないでいる時間(くうかん)が落ち着く。なんだか、ヤトの優しさを感じているようなきがして。温かいミルクティーが、ヤトに包み込まれているような気gあして。
 外はまだ雨が降っている。さっきより強くなったような気がするのは、気のせいだろうか? リビングには、雨の音と、私がミルクティーをすする音しか聞こえない。その雨の音も心地がいい。
「ん、ありがと。美味しかったよ」
 ミルクティーを飲み干すと、ヤトにマグカップを渡す。ヤトは、おう、と一言そう言うと、マグカップを受け取って台所へ行き、シンクの中にマグカップを置く。
「そだ、返事……」
 作戦が出来なくなっちゃったなぁ、なんて考えながらも、普通に返事をしようと、話を切り出す。
「えっ、ちょ、ヤト……?」
 いきなり抱きしめられた。台所から私のもとへ歩み寄ってきたヤトに。
「返事なんざいらねーよ。レイの返事はわかってる。今からお前は俺の女だ。一生離してやんねーから」
「……うん」
「他の野郎共にお前を指一本、髪の毛一本でさえ触れさせはしねぇ。言っとくけど、俺、かなり独占欲強ェからな? 覚悟しとけよ?」
「うん。ヤトの俺様と独占欲の強さは知ってる。私、ヤト以外興味ないから」
 昔から、ヤトは独占欲が強かった。昔っていっても、小四くらいだけど。自分の使ってるものは、自分以外誰も触れさせたりしなかった。独占欲の強さの所為で、先生に怒られてたこともよくあったし。
「レイ……好きだ。世界の誰よりも愛してる」
「うん。私も」
 私を抱きしめる腕の力が強くなる。痛いくらいに強い。だけどすっごい優しい。
 ヤトの腕の中は心地いい。優しくて、あったかくて。
 自分の腕をヤトの広くて大きな背中に回す。腕が回りきらない。それだけヤトの背中は広くて大きい。
「雨、やむまでここにいろよ。ミルクティー、飲みたいだけ出してやるよ」
「うん、いる。雨がやんでもずっといる。ミルクティーは……今はヤトがいるから。ありがとう」

 ねぇ、ヤト。好きだよ。大好きだよ。これから、ずっと一緒にいてね? 私だって、表には出してないけど、ヤトに負けないくらい独占欲強いんだよ。だからね、私、絶対ヤトを離したりしないから。一生一緒にいるって、約束だよ。

「……愛してる……」
 私はヤトの腕の中で、ヤトには聞こえないように、小さな小さな声で、そう呟いてみた。

 今日郵便局に行かなければ、今日雨が降らなければ、私たちはきっと結ばれてなかっただろう。そう、雨が降ってくれたから、私たちは結ばれた。雨は……私たちにとって、恋のキューピッド、かな――?


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written by 沖田さくら

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