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zoom RSS 恋愛物語〜短篇集〜

<<   作成日時 : 2009/03/26 17:58   >>

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17 見据えた未来  麻代珠祈(ましろ たまき)/深知星弥(みち せいや)
※専門用語的な用語が出てきます。わからなければこのページの下へどうぞ。


 あの人は私にとって、とても大切で、とても好きで、とても温かくて、とても遠くて――そう、まるで太陽のような存在でした。

「ねぇ星弥。私たち、また会える?」
「ああ、会える。必ず」
「本当に?」
「本当だ。いつか必ず、絶対に会える」
 そんな約束をしたのは、三年くらい前のこと。今はもう、星弥はいなくて、私は星弥の母親に追われている。星弥の交通事故のことで。
 全ての始まりは、六年前だった。私も星弥も十二歳。中学生のときに私と星弥は出逢って、恋に落ちた。その頃
私たちは、互いに何も知らなくて。中学二年生になったとき、真実を知った。星弥はお金持ちの家の出で、将来は跡取りとなる身。中学二年生にして、既にフィアンセがいた。それでも私も星弥も、互いに好き合っていて。中学三年生になると、私たちは一緒にいられなくなってしまった。一番最後に会った日にあの約束を交わして、私たちは分かれた……はずだった。私と星弥が背を向け合って歩き出すと、少ししてから、珠祈! と私の名前を呼ぶ声が聞こえたと思うと、振り返る間もなく私の視界は何度かぐるぐると回って、地面に尻餅をついた。と同時に、私の目に飛び込んできたのは、地面に血を流して倒れている星弥。その事故がきっかけとなって、私は星弥の母親に追われるハメになってしまった。無理もないと思う。星弥はたった一人の跡取りで、とても大事にされていたみたいだから。そんな大切な息子が、私のような一般市民の為だけに死んでしまったのだから。

 今日、一月十八日で、星弥が死んでしまってからちょうど、三年目になる。私は沢山の覚悟を決めて、星弥のお墓へと向かった。あの日みたく、雪が降っていた。
「ごめんなさい、星弥。私……」
「珠祈」
「星弥っ?」
 星弥のお墓の前で手を合わせて目をつむって呟くと、星弥の声が後ろから聞こえた。振り返ったそこにいたのは、紛れもなく星弥で。
「久しぶりだな」
「うんっ。ホント久しぶり」
「約束……こんな形でしか果たせねぇけど」
「約束は約束だよ。果たす形なんて関係ない」
 そうだな、って言って、星弥が笑う。私もつられて笑った。
 夜だというのに、墓地がだんだん明るくなってきた。きっと、星弥の母親たちだろう。私を、とらえにきたんだ。……もう、私は。
「大丈夫か? 珠祈」
「大丈夫。心配しないで。だから……待っててね、星弥」
「……ああ」
 急に光が消えて、墓地に闇が戻る。怖くなどない。覚悟は全て、もう出来ているのだから。私の周りには沢山の人の気配と殺気がある。きっと、一番大きいのが星弥の母親だろう。
「麻代珠祈! そこにいるのはわかっているわ。出てきなさい!」
「私は、もう逃げも隠れもしない」
 私がそう言ったとたん、一気に私に光が集まる。その光の多さに私は、目を細めて、腕を顔の前に持っていく。
 目の前には星弥の母親。母親の周りと、私を取り囲むようにして黒い服を着た人たちがいる。この人たちは母親のボディーガードか執事のような存在の人。もしくは、プロのアサシン。
「謝って済むようなことだとは思ってません。だけど、これだけは信じて下さい。私が、ただひたすら、一途に星弥くんのことを想っていたということだけは」
 星弥の母親は、私の言葉を聞くと、一度目を閉じて俯いた。少しして顔を上げて目を開くと、銃を構えた。その銃のマズルがとらえるのは、私の額。私は、ゆっくりと目を閉じた。トゥリガーを絞ったのがわかった。

  私は、今、愛しいあなたのもとへ。


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written by 沖田さくら



用語講座的なモノ。
☆アサシン … 暗殺者
☆マズル … 銃口
☆トゥリガー … 引き金

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