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zoom RSS 恋愛物語〜短篇集〜

<<   作成日時 : 2009/03/26 16:08   >>

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14 大ばか真琴  萩真琴(しゅう まこと)/鮎采芽(あゆ あやめ)
※少しだけですが、微妙にグロい表現が出てきます。苦手な方は読まないことをオススメします。
 それでも読みたい、という場合は、そこだけ飛ばして読んで下さい。話はわかります。
 最後の方の“一度バックステップで後ろに下がり、〜”からです。


 俺、何やってんだ……? 何で戦ってんだ? 何の為に戦ってんだ? 誰の為に戦ってんだ? ……あぁ、采芽の為か。采芽が好きだからか。だから今俺、戦ってんのか。やっぱ俺は、いつまで経ってもばからしい。どんなこと聞かされても、俺のばかは治んねぇらしい。だってほら、采芽の為に戦ってるって、采芽が好きだから戦ってるってわかっても、戦うことやめてねぇじゃねーか。
「もうやめてよ真琴っ!」
 遠く俺の後ろで、采芽が叫ぶ。泣いているのだろうか、涙声のように思う。
「っせぇ! 黙ってろ!」
 ほら、またこんなこと言って。采芽にやめろと言われてもやめねぇ。もうこうなってくると、俺ってばかなんじゃなくて大ばかなんじゃねぇかと思う。自分で自分が嫌になってくる。でもきっと、大ばかの俺だから、戦うことはやめねぇだろう。
 地面を蹴って、俺は敵に飛び掛っていく。俺の身体はもうボロボロで、立っているだけでも精一杯なのに、大ばかの俺は采芽の為に戦う。
「やだよ、もうやだよ、真琴っ! お願いだからもう戦わないで……っ!」
「黙ってろっつったろ! 俺は戦わなきゃなんねーんだよ! 俺の為にも、采芽の為にも!」
「どうして真琴が戦わなきゃいけないのよっ?! これ以上、体に傷付けないで! 真琴、死んじゃうじゃないっ!」
 采芽の言葉を無視して、俺は戦い続けた。俺は死んでも采芽を護り抜かなきゃなんねぇ。
 ――俺は、身を隠さなきゃなんねぇ。あの勢力がなくなるまで。幸い、あの勢力はだんだん衰えてきてる。二、三ヶ月もありゃ消えるハズだ。だから真琴、お前に頼みがある。一番信頼してるから、真琴に頼むんだ。あの勢力が消えて、俺が身を隠す必要がなくなるまで、采芽を護って欲しい。それから、采芽に俺は死んだと伝えてくれ。あの勢力が消えたときに、俺は生きてると真実を伝えて欲しいんだ。俺が生きてると知れ渡っちまうと、采芽を危険な目に合わせちまうだろうし、それに采芽、俺のこと捜そうとするだろ? 頼んだぜ、俺が最も信頼する男、萩真琴(しゅう まこと)!
 頭の中で、アイツに言われた言葉がリピートされた。三ヶ月経った今でも、鮮明に覚えてるし、一字一句間違えずに全部言える自信がある。あの日、たった一回しか聞いていない言葉だけど。
「ごめんな、采芽……」
 俺は呟いて、心を決めた。次の一撃で戦いを終わらせると。俺もボロボロだけど、敵も俺と同じくらいボロボロだ。互いにそう長くはもたない。なら、俺の一撃で戦いを終わらせる。たとえ、俺が死ぬことになったとしても。
 一度バックステップで後ろに下がり、体勢を整える。少しの間敵とにらみ合いをしたあと、敵が地面を蹴ったのを見て、俺も地面を蹴った。敵が剣を振り下ろす。間一髪でよけきれずに、血が噴き出す。俺はその痛みを必死で堪えながら、敵の心臓に剣を突き立てた。剣を引き抜くと、大量の血が敵の体から噴き出すのと共に、敵は地面に倒れる。俺は敵のように倒れそうになる体を、地面に剣を突き刺して支える。
「真琴っ!」
 駆け寄ってくる采芽に、俺は少しだけ歩いて近寄る。だけど、五歩も歩かないうちに俺は倒れてしまった。
「だからやめてって言ったのに! 戦わないでって言ったのにっ!」
「やめれるわけねぇだろ。アイツと約束したんだ。破るわけにはいかねぇ」
「コウくんとの約束なんて……っ! 真琴の命の方が大切じゃない! それに、もうコウくんいないんだから、真琴以外に誰が私を護ってくれるのよっ!」
 采芽の目から、何度も涙が流れては、地面に雫が落ちていく。そんな采芽に伸ばしそうになってしまった手を、俺はすぐに引っ込めた。采芽には、触れられない。俺の采芽じゃないから。
「秘密、基地……」
「秘密基地?」
「いるから、生きてるから。コウ、あの秘密基地に、隠れてるから。絶対、行って、やれよな……。采芽……最期に、一つだ、け。好き、だ……」
「真琴?! 真琴っ?! 死なないでよっ! 真琴ーっ!」
 采芽が俺の名前を泣きながら叫ぶのを聞きながら、俺はまぶたを閉じた。後悔はない。好きな采芽の為に戦えて、その戦いで死ねて、采芽に好きだと伝えられて。後悔など、一つもない。
 采芽はコウに取られちまったけど、悔しくはない。哀しくはあるけれど。だけどコウならきっと、いや、絶対に采芽を幸せにするだろう。俺はそれでいいや。采芽とコウが幸せになれたなら、それで。
 ――きっと俺、最期まで大ばかだった。


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written by 沖田さくら

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