Live in my Dream

アクセスカウンタ

zoom RSS 恋愛物語〜短篇集〜

<<   作成日時 : 2009/02/26 22:46   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

10 “想い”の重さ  夕夏羽(ゆう なつは)/霜成都(そう せいと)


 あぁ、まただ。また裏切られた。これでもう八人目。私はどれだけ裏切られれば裏切られなくなるのだろう。どれだけ人を信じれば、人を信じられなくなるのだろう。
 一時間くらい此処でずっと待っているけれど、遊ぼうと言った張本人が全然来ない。道行く人々からは変な目で見られるし、小さい子供には変なこと言われるし、おばさんにはどうしたのと声をかけられるし、おじさんにはやたらジロジロ見られるし。……雨まで降ってきやがった。不幸すぎるにも程がある。神様は私をどれだけ不幸にすれば気が済むのだろう。
 さっき降り出した雨は、どんどん強くなっていく。時々肌にぶち当たる雨粒が痛い。雨の中一人傘もささずに佇んでいる私に浴びせられる人々の視線も痛い。
「何してんだ?」
 雨がやんだかと思うと、前から声が聞こえた。俯いていた顔を上げると、そこに立っていたのは霜(そう)。少し上を見ると、いつも霜が使っている黒い傘。
「待ってた」
「誰を?」
「彼氏」
「来たのか? ……ってその様子じゃ来てねーんだろうな」
「うん、来てない。また裏切られちゃった」
 泣きたい。今すぐにでも泣きたい。泣いて、全部忘れてしまいたい。だけど、こうやって裏切られて、涙を流したことなんて一度もなかった。
「何人目?」
「これで八人目」
 呆れた顔をされた。霜にも嫌われちゃうのかな、なんて思っていたら、不意にびしょびしょの頭を、くしゃくしゃっと撫でられた。
「来いよ」
 霜はそう言って、私の手を握って歩き出す。私はされるがまま引っ張られていく。

 少し歩いて着いたところは、霜の家。中に入ると、其処で待ってろ、と言われたから、私は玄関で待つ。
 数分経って戻ってきた霜は、手にタオルを持っていた。そのタオルで、私のびしょびしょの頭を拭いてくれる。
 少しして私の頭を拭き終わると、もうあがってもいいのか、靴脱げ、と霜は言う。私は靴を脱ぎ、家にあがろうとすると、急に身体がフワッと浮いた。
「ちょ、霜?! 何するの?!」
「何って、風呂場に運ぶだけだけど」
「お風呂場?」
「濡れたまんまじゃ風邪引くだろ」
 霜って俺様なのか優しいのかよくわかんないや、なんて思いながら、私は霜に、お姫様抱っこをされて、お風呂場まで連れていってもらった。
 促されるままに私はお風呂に入って、あがってくると置いてあった服を着る。洗面所兼脱衣所を出ると、扉の右側には霜が壁にもたれて立っていた。腕を組んで目をつむって俯いている。私はそんな霜の姿に見とれてしまった。なんだかとてもカッコよく見えてしまって。
「……霜」
 しばらく見とれていて、少し声をかけようか迷った末、私は霜に声をかけた。すると霜はゆっくりと目を開いて、私の方を見る。すぐに目をそらして何か言うのかと思えば、霜は何も言わなくて。ただじっと、私を真っ直ぐ見ている。私が目をそらすことも、言葉を発することも出来たのだけれど、何故か霜から目をそらすことが出来なくて、言葉は喉でつっかえて。
「夏羽」
 不意に名前で呼ばれて、私の名前を呼んだ霜があまりにも真剣な顔をしていて、私は思わずドキッとしてしまった。
「俺じゃダメか?」
「へ……?」
 一瞬、思考回路が停止して、何も考えられなかった。霜と付き合うとか考えたこともなかったし、恋愛対象として見たこともない。だから私は、どうしていいかわからなくなった。
「俺なら絶対ェ裏切ったりしねェから。夏羽を幸せにするから」
「霜……?」
「俺さ。今、どうしようもねェくらい夏羽が好きなんだ。気づけばどんなことしててもお前のこと考えててさ。なぁ夏羽。俺どーしたらいいと思うか?」
 答えが出ない。霜に何を言われても、私の頭は理解してくれなくて。こんなにも私を想ってくれてる人がいるのに答えが出せなくて、私は私にイライラした。
 私が黙っていると、急に霜の温もりに包まれた。
 ――好き。霜が好き。
「……付き合おっか。責任、とってあげる」
 霜に抱きしめられて、霜が好きだと答えが出ると、私の口からは自然と言葉が出てきた。自分でも驚くくらい、スラスラと。そんな私の目からは、涙が一筋。
 私と霜は、何かを誓い合うかのように口づけを交わした。


11話目へ
恋愛物語〜短篇集〜目次へ
小説用目次へ



written by 沖田さくら

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文

沖田さくら

elouai's doll maker 3

きらら

恋愛物語〜短篇集〜 Live in my Dream/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる